移送物の基礎知識クラスを受け持つ、ティーチャーシローです。
前回に引き続き、粉体の性状や特長を表す用語を解説します。粉体を扱う際の予備知識として活用して下さい。今回は、「かさ密度」「流動性」「噴流性(フラッシング性)」です。
粉体を一定容積の容器に一定の方法で充填し、粒子間の空隙も含めた体積で、粉体の重量を除した値を「かさ密度」と言います。
容器にゆるく充填した場合を「ゆるみかさ密度」(下図左)、容器をタッピング(上下に振動)しながら充填した場合を「かためかさ密度」(下図右)と言います。なお、流動化(※1)した状態で測定すれば、一般的なゆるみかさ密度よりも若干小さくなる傾向を示します。このように計測方法の違いで数値は異なるので注意が必要です。
粉体プラントの場合、その能力や取扱量は○t/dayや○kg/hのように質量で表示する場合がほとんどです。従って、サイロやホッパーを設計するためには、質量と容積の関係を把握しておく必要があり、かさ密度がその指標になります。
例えば小麦粉の場合、ゆるみかさ密度は0.5g/cm3程度ですが、かためかさ密度は0.7g/cm3程度になります。
粉体の流れやすさを示します。
「流動性」の高い粉体と「流動化」しやすい粉体は混同しがちですが異なります。流動性が高い粉体は、砂時計の砂のような顆粒状のものが多く、このような粉体は、円錐状に積み上げようとしても、底辺が広がって崩れていきます。流動性の高い粉体は粒径が均一な場合が多く、流動化させるために気体を供給しても粉体層内に気体を保持しにくく、流動化しない場合がほとんどです。
逆に流動性の低い粉体は、円錐状にすればその形状を比較的維持し、底辺の広がりも大きくなりません。一般的に、流動性の低い小麦粉のような粉体は、付着性や凝集性がある場合も考えられ、「ブリッジ」 「ラットホール」(※2)の形成や移送ラインでの閉塞といった現象が起こりやすくなるため、注意が必要と言われています。
水平面と斜面がなす角のことを安息角と言います。流動性の高い粉体は、安息角が小さく、逆に低い粉体は大きくなります。
粉体の飛散の起こりやすさを示します。
粉体を上部から受け皿に落とした場合、受け皿に載る粉体量が多い粉体は噴流性が低く、逆に拡散し受け皿からはみ出る量が多い粉体は噴流性が高い粉体と言えます。また、噴流性の高い粉体は、空気を抱き込みやすいため、流動化が良く、まるで液体のように流れ出します。そのため噴流性の高い粉体は、流量を制御することが難しい粉体と言えます。
そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!
次回は、粉体が引き起こす現象に関する用語を解説します。