ポンプの周辺知識のクラスを受け持つ、ティーチャーサンコンです。
今回はポンプの洗浄の2回目として自動洗浄(CIP)における洗浄効果の因子について、詳しくご説明します。
洗浄効果をあげることは、汚染物質の固着エネルギーにうち勝つだけの洗浄エネルギーを洗浄システムに供給しなければなりません。洗浄エネルギーの供給源としては、つぎの三つがあります。
これらの三つのエネルギーは互いに補完性があり、ほかにエネルギーの量的ファクターとして時間的因子が関連し、時間を長くかければ洗浄効果は増大することになります。
パイプの中を流れる液体の流速を増大していくと、ある値に達したところで流れの状態が層流から乱流に変化することがよく知られています。この原理はオスボーン・レイノルズによって発見されたレイノルズ数(Re)によるものです。洗浄効果を十分に得るためのレイノルズ数の一般的基準を示すと、タンク類では壁面流下フィルムにおいてRe>200です。パイプラインではRe>30,000を適用し、最大効果が得られると考えられています。レイノルズ数が25,000を越えると、活発な洗浄効果と効率が急激に上昇します。この場合、洗浄時間は指数関数的に関与するので、レイノルズ数を増大させれば洗浄時間は短くてよいことになります。
配管 | CIP の技術でよく知られていることとして、一般的に配管内のレイノルズ数は、Re>25,000以上とし、流速は0.6~1.5m/s としている(レイノルズ数は液の粘性によって変化する)。 |
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タンク類 | 立て形 流量= D × 3.14 × 1.5(m3/h) 横 形 流量= D × 2(D+L) × 1.5(m3/h) 〈D:タンク直径(m)、L:タンク長さ(m)〉 |
プレート式熱交換器 | 熱交換器内流速>0.5m/s |
上述の配管やタンク、熱交換プレートの流速は、実験や文献、規格から決められたものである。
配管径(s) | 基準流量(1/h) | 一般製品流量範囲 (1/h) | レイノルズ数:水/温水 |
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1 | 2,150 | 0~ 2,000 | 3.34/9.19×104 |
1-1/2 | 5,350 | 2,000~ 6,000 | 5.27/14.5 |
2 | 9,570 | 6,000~15,000 | 7.05/19.4 |
2-1/2 | 15,400 | 15,000~23,000 | 8.94/24.6 |
3 | 22,400 | 23,000~36,000 | 10.8 /29.7 |
注意
3A規格からパイプラインの洗浄は、管内平均流速を最低1.5m/s としており、基準流量はこれから計算されています。また、Jenning によればパイプラインの洗浄では、レイノルズ数25,000以上で洗浄効果が急激に増しており、このことからレイノルズ数は30,000以上を確保する必要がある。上表はこれをすべて満たしている。
一般に温度を上げることにより次の効果が得られます。
牛乳残留物の場合は32~85℃の範囲で、洗浄液の温度を10℃あげることによって、洗浄効果を約1.6倍にすることができるといわれており、また、5℃高めると約30% の洗浄効果を増大できるといわれています。
三つの洗浄エネルギーの中で洗浄効果をもっとも大きく左右するエネルギーであり、一般に三つの総合洗浄効果中の大半を占めるといわれています。使用する洗浄剤は、下記の諸条件などにより選択決定されます。
被CIP機器 | 使用洗剤 | 洗剤濃度(%) | 洗浄温度(℃) | 備考 |
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タンク・配管 | アルカリ | 1~2 | 40~60 | 洗浄系 |
アルカリ | 0.5~1 | 60~80 | 洗浄・殺菌系 | |
殺菌プレート | アルカリ | 2~3 | 80以上 | |
酸 | 1~2 | 80以上 | ||
一般加工装置 | アルカリ | 1~2 | 70以上 |
そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!
次回は、SIPとASEPTICに関して詳しく説明いたします!