ポンプの基礎知識のクラスを受け持つ、ティーチャー モーノベです。
今回は、ポンプの重要な要素の一つである「軸封装置」について学びたいと思います。
流体機器などの軸貫通部分や圧力容器、管などの継手部分から流体が漏れるのを防止する密封装置は、総称してシールと呼ばれ、図1のように運動用シールと固定用シールに分類できます。
軸封装置とは、ポンプなどの主軸がケーシングを貫通する部分から、内部の液が外部に漏れたり外部の空気を吸い込むのを防止する装置のことを言い、各種の運動用シールが使用されます。
ポンプでは、「圧力」「温度」「速度」「取り扱う液の種類」などの条件によって、様々な種類の軸封装置が使用されていますが、ポンプの回転軸部分で使用される代表的なシールは、「メカニカルシール」と「グランドパッキン」です。
「メカニカルシール」と「グランドパッキン」それぞれの説明に入る前に、両者の比較を表1に示します。それぞれ特長がありますが、モーノポンプでは一般に、漏洩量、寿命、メンテナンスなどの点で優れているメカニカルシールを使用し、メカニカルシールではシールが困難な高温液、摩耗性の極めて高い高濃度スラリー、熱硬化性樹脂などの用途でグランドパッキンを使用しています。
メカニカルシール | グランドパッキン | |
---|---|---|
軸の運動 | 回転 | 回転・往復 |
構造 | 精密であり、複雑 | 精度が低く、簡単 |
圧力 | 低~高 | 低~高 |
温度 | 中 | 低~高 |
漏洩量 | 極少 | 焼き付きを防ぐため、ある程度の漏れが必要 |
寿命 | 長い | 比較的短い |
軸・スリーブの磨耗 | 軸やスリーブと摺動せず磨耗なし | 直接摺動するため磨耗する |
調整(増し締め) | スプリング等の働きにより、摺動面が追従するので増し締めの必要はない | パッキンが消耗するため、ときどき増し締めが必要 |
動力損失 | 摩擦面積、摩擦係数が小さく動力損失は小さい | 摩擦面積、摩擦係数が大きく動力損失は比較的大きい |
交換作業 | ポンプの分解が必要 | ポンプを分解せずに交換することも可能 |
価格 | イニシャルコストは高いがランニングコストは低く、結果的に安くなる | パッキン自体は安いが、軸表面処理費やランニングコストがかかり、結果的に高価となる場合がある |
そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!