移送物の基礎知識クラスを受け持つ、ティーチャーシローです。
今回は、粉体がホッパーやサイロなどの貯留槽において引き起こす現象に関する用語を解説します。
大きく分類して、貯留槽内の粉体が吐出口から排出される「マスフロー」「ファネルフロー」という現象と、貯留槽内の粉体が槽内で動かなくなり吐出口から排出されない「ブリッジ」「ラットホール」という現象について説明します。粉体を扱う際の予備知識として活用して下さい。
ホッパーの内壁付近の粉体と壁面の摩擦を小さくし、すべらせるようにすれば、粉体面が液体のようにほとんど水平に沈下しほぼ完全に排出されます。このような流れを「マスフロー」と言います。
ホッパー内に空気やガスを供給し、粉体を流動化(※1)させることによって、壁面との摩擦が小さくなるため、マスフローの状態にすることができます。この場合、ホッパー内の粉体は常に新しい粉体と入れ替わるので、変質によるトラブルを回避することができます。
ホッパーの内壁付近の粉体は、粉体圧により壁に押しつけられ、粉体粒子と壁面の摩擦が大きくなりすべりにくくなります。したがって左図のように排出口の真上の粉体だけが先に排出され、そしてその排出層周辺の上部の粉体層より次第に崩れ、流下していきます。
このような流れを「ファネルフロー」と言います。この場合、粉体はある程度排出されますが、ホッパーのコーンには残留層が形成されます。残留層は、新しい粉体に入れ替わることがないため固化層を作り、粉体によっては変質する場合があります。
ホッパーの排出口で粉体の粒子同士がアーチ構造を形成して閉塞し、粉体が排出口から排出されない現象を「ブリッジ」と言います。左図のように、排出口の真上付近の粉体だけは排出されますが、それ以上は排出されません。この現象は、ホッパーの形状や排出口径、粉体の性状などに起因しますので、ホッパーの設計時には注意が必要です。
ファネルフローで粉体の排出層周囲の粉体固定層が強固でくずれない場合、粉体は排出をストップし、左図のような穴が形成されることがあります。
ちょうど野ネズミがもぐり込む穴に似ていることから、この穴は「ラットホール」と呼ばれています。
「ブリッジ」「ラットホール」「ファネルフロー」など、ホッパーやサイロの貯留槽内の粉体が排出されない、排出量が低減するなどの現象が起きた場合、その対策として、
などがあります。上記の1つの対策でその効果が出る場合もありますが、粉体の種類や性状に応じて、複数の方法を組み合わせてその対策を講じる場合が一般的です。
そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!