ポンプの周辺知識のクラスを受け持つ、ティーチャーサンコンです。
今回がインバーターの基礎知識の最終回です。最終回は、インバーターの選定・設置上の注意すべき点についてご説明します。皆さんついてきてくださいね。
インバーターには電圧や負荷に応じて種々の容量と種類があり、その選定には留意が必要です。
電圧はモーターの定格電圧に対応して200V級と400V級があり、対象モーターの定格電圧に合わせて選定する必要があります。
一般的にインバーターの最大適用モーターは4Pモーターを基準に定められており、インバーターの定格電流が4Pモーターの定格電流に対して十分余裕があるようになっています。しかしモーターの極数が4Pと異なり、極数が増える場合は、モーターの定格電流が大きくなり、インバーターの定格電流より大きくなると運転できなくなるので特に注意が必要です。
汎用インバーターにはファン・ポンプ専用インバーターと呼ばれるものもあります。ファン・ポンプ専用インバーターは、起動トルクが小さく、運転トルクが回転速度に比例する特性があるファンや渦巻ポンプ専用であり、起動時に大きなトルクが必要なポンプや運転トルクが一定負荷のポンプなどの使用には適しません(インバーター容量をモーター容量より1ランク以上大きくすることで起動できるようになる場合もあります)。
防爆モーターをインバーター(インバーター自体は非防爆構造なので安全な場所に設置する必要があります)で駆動する場合は、モーターとインバーターを組み合わせた防爆検定(d2G4)が必要です。従って、商用電源用の防爆モーターをインバーターで運転することや、インバーターとメーカーの異なる防爆モーターとの組合せでは一般的に検定を受けていないため運転できません。上記の理由から、既設のインバーター用防爆モーターを駆動する場合でも、インバーターが故障して取り替える場合でも、同一メーカーの防爆検定を受けているインバーターとの組み合わせが必要です。
通常単相電源では単相モーターしか駆動できませんが、インバーター駆動の場合、単相電源用インバーターがあり、これを利用すれば下図のように出力を三相にすることができ三相モーターを駆動できます。単相電源用インバーターには単相100V用と単相200V用の2種類ありますが、大きなモーターは運転できないので注意してください。単相100Vでは0.75kW、単相200Vでは2.2kW程度までが目安となります。
インバーターにはモーターを動かすために比較的大きな電流が流れますが、高調波やノイズの発生源にもなりますので、設置にあたっては細心の注意が必要です。資格を有する専門家がメーカーの取扱説明書を十分理解して行う必要がありますが、特に注意が必要な事項は以下のとおりです。
インバーターからモーターへのケーブルは短いほうが望ましく、インバーターメーカーからも30m以内が推奨されています。ケーブルが長いと、電圧降下により起動不良が起こりやすくなったり、漏れ電流により漏電遮断器やサーマルリレーが作動する恐れがあるので、ケーブルをシールドケーブルにしたり、電線管等に通すといった対策が必要になります。
インバーターには大電流が流れる主回路線を一次側(電源側:R、S、T相)と二次側(モーター側:U、V、W相)に接続しますが、RSTに接続すべき線を誤ってUVWに電源線を接続するとインバーターが破損しますので、注意が必要です。
また、アースの接続は必須で、接続しないと感電するお恐れがあります。なお、接続できるモーターは基本的には三相誘導モーターのみですが、400V級のモーターをインバーターに接続する場合は、高耐圧(絶縁強化)モーターであることを確認する必要があります。高耐圧(絶縁強化)モーターでないとモーター巻線の焼損を引き起こします。
漏電遮断器、漏電保護リレー等を設置する場合、通常の商用電源用のものを使用すると誤動作を起こす恐れがあるので、高調波対策品を使用する必要があります。また、インバーターの二次側に力率改善用進相コンデンサー、サージキラー、ラジオノイズフィルターといった機器を接続するとインバーターのトリップや機器の破損を引き起こします。
そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!
6回シリーズでお届けした「インバーターの基礎知識」は今回の講義で終了です。ありがとうございました。