移送物の基礎知識クラスを受け持つ、ティーチャーシローです。
今回は「流体と配管抵抗」に関して説明していきたいと思います。
移送液が配管を流れるとき、配管の内壁と流体との間には、流れと反対向きの摩擦力が発生します。これを「管摩擦抵抗(管摩擦損失)」といい、これがいわゆる配管抵抗です。
ポンプは配管抵抗よりも強い力で押し出さなければ移送液が流れていきません。つまり、ポンプの主能力である「全圧力」は、配管抵抗よりも大きくないと移送液が末端からでてこない!トラブルに見舞われてしまいます。よって、ポンプの仕様決定にあたっては、配管抵抗の見積りがなくてはならないわけです。
前回の講義で流体にはニュートン流体と非ニュートン流体(擬塑性流体、ビンガム流体など)があるとご紹介しましたが、配管抵抗の計算は各流体ごとに計算式が存在します。よって、配管抵抗の計算には、以下の手順で行います。
流動方程式とはS:ずり応力、D:ずり速度との関係式。通常粘度計が算出してくれます。
擬塑性流体なら「S=Κ×Dn」 Κ:粘性係数、n:粘性指数
ビンガム流体なら「S=τy+ηb×D」τy:降伏値、ηb:塑性粘度
書籍をみると配管抵抗の計算には「層流」と「乱流」で異なった式を使い分ける必要があります
その名の通り流れの各層が整然と並んで一糸乱れずに流れている状態。
前には流れているもののミクロ的にみると各流体微粒子が前後左右に好き勝手に流れている状態。
層流か?乱流か?この判別方法として一般的に使われる方法がレイノルズ数(Re)による判定です。レイノルズ数の値により次のように判定します。※文献により2300は異なる場合があります。
Re≦2300・・・層流
Re>2300・・・乱流
例えば、ニュートン流体でのレイノルズ数は次式で求めることができます。
Va:配管内の流速[m/s] d:配管直径[m] ν:動粘度[m2/s](=粘度÷密度)
この式の意味は次の通りです。
即ち、
水のように粘度が低く流速が早い流れ→レイノルズ数大⇒乱流になりやすい
ドロッとして粘度が高く流速が遅い流れ→レイノルズ数小⇒層流になりやすい
というわけです。
配管抵抗:P[Pa]の計算式は次式で求めることができます。
λ:管摩擦係数 L:配管長さ[m] ρ:密度[kg/m3]
この式をみるとお分かり頂けると思いますが、配管抵抗が大きくなるのは
となり、特に流速は2乗に比例して配管抵抗を大きくします。即ち、配管抵抗が大きくて困った場合はこの逆をやれば良いわけです。
なお、管摩擦係数はニュートン流体/層流では次式で求められます。
粘度が大きくなればなるほど、λは大きくなることが分かります。
ポンプ・配管の設計・選定特には移送液、配管長さ、密度が事前に決まっていることが多いので、実際には配管直径:dを大きくしたり、小さくしたりして調整されることが多いようです。
乱流ではλの計算方法が異なり、擬塑性流体やビンガム流体ではレイノルズ数の算出方法がニュートン流体/層流と異なります。その詳細は非常に難しいのでここでは割愛します。ご興味のある方は、専門書などでご確認いただき、更に知識を深めていただければと思います。
そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!
今回で流体に関する説明を終わります。これまでの講義内容は多くの方に取って普段耳にすることのない用語ばかりで難しかったかもしれません。折に触れて何度か確認していただけると、少しずつ分かってくると思います。
次回は、「粉体」に関して詳しく説明いたします!!