移送の豆知識。移送の学び舎

ポンプの周辺知識クラス

【B-3a】インバーターの基礎知識(Ⅰ)

こんにちは。ポンプの周辺知識のクラスを受け持つ、ティーチャーサンコンです。
今回からは、モーターの回転速度を変えて駆動(可変速駆動)するための最も重要な装置の一つであるインバーターについて、数回に分けてご説明します。皆さんついてきてくださいね。

I.インバーターの動作原理と構造
I-1.インバーターとは

工場や家庭の電源は一般に交流ですが、その電圧と周波数は一定であり、例えば200V/60Hzや100V/60Hz等のように各国で統一されています。交流の周波数と電圧の大きさを、交流のまま自在に変えることは容易ではありません。そこでインバーター(図1)装置を使って、交流を一旦直流に変換(コンバーター回路)した後、再度交流に変換(インバーター回路)することで、周波数と電圧の大きさを自在に変えています。

直流を交流に変換する装置を学術的に「インバーター」(逆変換器)と言いますが、電圧や周波数を自在に作り出すメカニズムの主役が「インバーター回路」であるため、「コンバーター回路」「コンデンサー」「インバーター回路」を合わせた装置そのものが日本ではインバーターと命名されています。

図1

ここでは、直流を交流に変換して出力するPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)インバーターの仕組みを、図2のように水位が一定のタンクから栓の開閉により水を出す装置と仮定して説明します。

図2

水が電気、タンクがコンデンサー、A・B 2つの栓がインバーター回路に相当します。A・Bどちらの栓が開いたときもタンクから流れ出る水の勢いは一定であり、どちらか一方の栓が開いているときは、もう一方の栓は閉まるようになっていると仮定します。すると、栓が開いている時間を長くしたり短くしたりすることによって流れ出る量を制御できます。さらに、開ける栓を切り換えることによって、水が流れる向きを逆方向に変えることができます。

つまり、栓Aを開けたときはA方向にのみ水が流れ、栓Bを開けたときはB方向にのみ水が流れます。こうして水の流れる向きを変えることができます。このように、水の入ったタンクでは、栓の開閉時間の調整と栓の開閉の切り換えによって、一定に一方向に流れ出る水の量と向きを変えますが、インバーターも同様の仕組みで、直流を交流に変換しています。

インバーターはモーターの駆動用(エアコン等も含む)だけでなく、それ以外の幅広い用途、例えば、蛍光灯や炊飯器、コンピューター用定電源装置等にも使われています。モーター駆動の場合は電圧と周波数の両方を変えますが、蛍光灯や炊飯器(IHジャー)は、主に周波数のみを商用電源の周波数より高くすることを目的にインバーターを使用しています。

また、コンピュータ用電源装置は直流の電池等から一定の電圧・周波数の交流を作り出すためにインバーターを使用しています。商用電源の電圧や周波数にはどうしても変動や瞬間的な停電(瞬停とも言います)等が発生しますが、コンピューターはそういった変動や瞬停があると誤動作や停止が起きるため、インバーターを使ったコンピューター用電源装置が使用されるという訳です。(図3参照)

図3

I-2.インバーターによるモーター回転速度の制御

三相交流誘導モーターの回転速度は、「極数」に反比例し、「周波数」にほぼ比例します(図4参照)。「極数」は、モーターの原理から決まる固有の値で「2、4、6」のように2の倍数になり連続した値ではないため、回転速度を無段階で連続的に変えることはできません。

一方、「周波数」はモーターに加える電気の特性であるため、それを外部で変えてモーターに与えることができれば、モーターの回転速度を連続的かつ自在に変えられます。インバーターは周波数を自在に変更できるため、「周波数」の制御だけでモーターの「回転速度」を自在に制御でき、モーターの可変速装置として最適です。

図4

「回転速度」の制御は「周波数」の制御のみで可能ですが、電圧を下げずに周波数のみを下げるとモーターの交流抵抗が下がり、電流が大量に流れモーターが焼損してしまいます。モーターの焼損を防ぐには、「周波数」だけでなく「電圧」も同時に変える必要があります。モーター駆動用のインバーターが「周波数」と「電圧」を同時に変えるところから、VVVF(図3の注釈参照)インバーターと言われています。

図5

「周波数」と「電圧」を同時に変える以上、図5のようにモーターに入力するV(電圧)とf(周波数)は、出力周波数の増減と共に電圧も増減して、ほぼ、Vとfの比率が一定すなわちほぼ正比例関係となるようにする必要があり、その比率を「V/f(ブイ・バイ・エフ)」と呼んでいます。また、「Vf(ブイ・エフ)特性」と呼ばれる用語は上記のモーター特性から派生したものです。

V/fが一定でモーターを運転することがほぼ最適な運転となりますが、周波数が低くなると、電圧降下の影響が大きくなることからトルクが低下するので、それを補償するため低周波数領域では電圧を少し上げます。そのことを「トルクブースト」(トルク補償)と呼んでいます。このように周波数と電圧を比例関係で、両方同時に変える制御方法、すなわち周波数が決まれば電圧が自動的に決まる制御方法を「Vf制御」と呼びます。

そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!

本稿のまとめ

今回は、インバーターの動作原理・構造と回転速度の制御について説明しました。
ポイントとしては、

  • インバーターは電圧と周波数を自在に変換できる装置で、用途はモーター駆動用だけでなく幅広く使われている。
  • モーター駆動用ではモーターの回転速度を周波数を変化させることにより簡単に変えられる。

次回は、インバーターの基本制御方式とインバーター駆動におけるモーター特性について説明します。

このページの上へ

お気軽にお問い合わせください。

  • お電話でのお問い合わせ
  • フォームでのお問い合わせ

メールニュースの登録はこちらから

  • メールニュース登録
  • メールニュースが届かない場合

ユーチューブ(YouTube)のヘイシンチャンネルへのリンク

トップページ