技術コラムA教室ポンプの基礎知識クラス

【A-6c】
ポンプ選定時に確認すべき事項(3)

ポンプの基礎知識のクラスを受け持つ、ティーチャー モーノベです。
今回はポンプの性能線図の見方、ポンプ及び駆動機の選定について学びたいと思います。

1. 性能線図の見方

ポンプには、それぞれのポンプの性能(吐出量・圧力[揚程]・回転速度などの関係)を示した性能線図があり、ポンプや駆動機の選定には必要なデータです。要求される吐出量と与えられた全揚程からポンプの大きさを求めます。この時にポンプの性能線図を使用します。

ここではターボ型ポンプである渦巻きポンプと、容積式ポンプであるギヤポンプを例にして説明します。
なおポンプによって特性や制御方法が異なるため、性能線図の書式もそれぞれ異なります。複数のポンプを比較検討する際には注意してください。

渦巻きポンプ

渦巻きポンプは、通常一定速モーターで駆動され、弁などで吐出圧力を調節して任意の吐出量を得ます。得たい流量と吐出量の線(H-Q)の交点からその時の揚程が、また軸動力の線(P)との交点から必要な動力が読みとれます。

図1 渦巻きポンプの例

「渦巻きポンプの性能線図の解説」
性能線図の横軸の0.5m3/minから上へ線を延ばし、H-Qの線との交点から左に線を延ばした縦軸の数値の読み20mがその量が得られる圧力(揚程)となる。X軸の0.5の線を更に上に延ばし、Pの線との交点から右に延ばしたときの読みである4kWが必要動力である。同様に1m3/minにするための揚程は15m、その時の必要動力は5kWとなる。

ギヤポンプ

ギヤポンプは容積式ポンプですので、圧力の変化による吐出量変化は少なく、吐出量を変更するには回転速度を調整する使い方が一般的です。仕様の回転速度は、吐出量と圧力から線を延ばし、その交点を読みとります。動力についても圧力と回転速度から読みとります。

図2 ギヤポンプの例

「ギヤポンプの性能線図の解説」
仕様が吐出量20L/min、圧力0.4MPaとすると、横軸の0.4から上へ線を延ばし、縦軸の20から右へ線を引く。この交点Aの位置が回転速度を示している。横軸の0.4から上に延びる線と吐出量の300min-1、500min-1それぞれの交点間をB、Cとし、BC間の寸法をa、BA間の寸法をbとして2つの寸法を実測する。この時aは500-300=200min-1であるから、A点の回転速度はb/aの割合から410min-1と読みとることができる。軸動力についても、ポンプ軸動力の300min-1、500min-1の線との交点間を、b/aの割合とする点を線図上に決め、その点から右に線を延ばし、軸動力の目盛りを読むと0.34kWとなる。

2. ポンプ及び駆動機の選定

ポンプの選定

液の粘度などの性状や、定量性など求められる条件によって、最適なポンプの種類を選ぶ必要があります。これは既に講義を終えた「ポンプの種類」等の講義を参考にして選んでください。ポンプの種類が決まれば、要求される吐出量と圧力の仕様からポンプの大きさを選びます。

使用する種類のポンプの性能線図から、上記の要領で適切な大きさのポンプを選びます。なお液の性状によって選定の際に考慮することもありますが、多少余裕を持った選定をするよう心がけてください。

【参照ページ】

駆動機の選定

選定したポンプに必要な動力は、上記の通り性能線図から知ることができます。この動力はポンプによる仕事分だけではなく、摩擦などによる損失分も含まれています。駆動機としては、ポンプを使用する回転範囲内で、上記の動力に対して適切な余裕が得られるものを選定してください。一般にターボ型ポンプでは2P、4Pなどの一定速モーターが、容積式ポンプではインバーターや機械式変速機などで回転速度を調節できるものが使用されます。

そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!

本稿のまとめ

  • ターボ型、容積式など、ポンプの種類によって性能線図の見方が異なること。
  • 各種ポンプの性能線図を見て、適切なポンプサイズの選定ができること。
  • 同様に性能線図から必要な動力値を知って、駆動機の選定ができること。

3回シリーズでお届けした「ポンプ選定時に確認すべき事項」は今回の講義で終了です。ありがとうございました。

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