技術コラムA教室ポンプの基礎知識クラス

【A-2】
ポンプの原理

ポンプの基礎知識のクラスを受け持つ、ティーチャー モーノベです。
今回はポンプの原理について、詳しくご説明したいと思います。

ポンプの能力

前にも述べましたが、ポンプの能力はポンプの入口まで液体を吸い込み(吸込能力)、次にポンプ内に入り込んだ液体を目的の場所まで移送する(吐出能力)2つの重要な能力を持っています。

では、それぞれの能力について考えてみましょう。

吸込能力

地球上にあるあらゆるものは大気の圧力を受けていることは周知の事実です。普通、この圧力を1気圧といっています。みなさん学校で習ったことを思い出してください。

「トリチェリーの実験」を聞いたことがあると思います。水銀の中に一方を閉じたガラス管を入れ、閉じた方を垂直に立てると、水銀はガラス管の中で水銀面から76cm上がったところで止まります。これは水銀の表面を大気の圧力が押しているからです。
では、水銀の代わりに水でこれと同じことをしたら、水はどこまで上がってくるでしようか?

水銀の密度は水の13.6倍なので

76cm×13.6=1033.6cm≒10.3m

そう、大気の圧力を利用すると10mも上がってきます。

手動ピストンポンプの動作

さて、さきほど立てたガラス管の上の部分には何が入っているのでしょう?ここには何もありません。つまり真空になっているということです。つまり、液体にパイプを立てて、何らかの方法で管の中の空気を抜いて真空にしてやると、水ならば約10m上げることが可能ということです。

コップの中のジュースをストローで飲めるのは、ストローの中の空気を吸って真空を作り、大気の圧力を利用してジュースを飲んでいるわけです。この空気を吸い出し真空を作るのがポンプです。

ガラス管の中の真空は完全な真空で「絶対真空」といいますが、水ポンプのような機械では構造上、必ずロスが発生しますので絶対真空を作り出すことができません。よって、ポンプの吸い上げ能力はどんなポンプでもよくて8m、普通は6m程度になります。

また、富士山の頂上のように大気の圧力が低くなるところでの吸い上げ能力はどうなるか。もうお分かりですね。当然、上の8~6mよりも下がってしまいます。ポンプの吸込の原理は大気圧を利用しているということです。

地上と富士山山頂との比較図

吐出能力

ポンプは液体を吸い上げるという能力とあと一つ、液体を押し上げるということが要求されます。これが吐出能力です。液体にいろいろな方法で圧力を加えて、パイプの中を流れるように工夫していきます。この工夫の仕方によって、前回説明しました「ポンプの種類」のようにさまざまなポンプが存在しています。

押し上げ能力(吐出能力)は、吸い上げ能力と違って、工夫すればいくらでも高く上げられるということですね。

そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!

本稿のまとめ

  • ポンプは「吸込能力」と「吐出能力」の2つの重要な能力を持っている。
  • ポンプの吸込能力は真空を作り、大気の圧力を利用している。
  • 水を扱うポンプの場合、吸い上げ能力はどんなポンプでもよくて8m、普通は6m程度まで。
  • ポンプの吐出能力はその構造を工夫すればいくらでも高く上げることが可能。

次回は、軸封装置に関して詳しく説明いたします!!

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