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ポンプの周辺知識クラス

【B-2c】駆動機(保護方式と耐熱クラス)

こんにちは。ポンプの周辺知識のクラスを受け持つ、ティーチャーサンコンです。
今回は、モーターの保護形式と温度上昇限度について説明します。皆さんついてきてくださいね。

保護方式(IP表示/保護方式の表記方法)

JIS(日本工業規格)では、回転電気機械(モーター)を、「IP表示」と呼ばれる「外被構造による保護方式」と「IC表示」と呼ばれる「冷却方式」によって分類し、モーターを保護し安全に運転するための基準を定めています。
一般的に使用されている「かご形誘導モーター」の外被方式は、防滴保護形(※1)または全閉外扇形(※2)がほとんどであり、冷却方式はそれに伴って決まるので、ここでは外被構造による保護方式の分類、すなわちIP表示についてのみ説明します。

※1:防滴保護形
直径12mm程度の固形異物が侵入しない程度の構造(保護)で、落下する水滴の影響を受けない構造(防滴)で、冷却方式は自由通流型(簡略記号IC01)となります。

※2:全閉外扇形
直径1mmを超える固形異物が侵入しない構造(全閉)で、冷却の為のファンが外にある構造(外扇)で、冷却方式は外被表面冷却自力通流型(簡略記号IC411)となります。

IP表示とは、IEC(国際電気標準会議)で定められたProtection(保護)の分類コードという意味です。現在のIP表示に統一される以前は、日本独自のJP表示と呼ばれる保護分類が存在していました。両者の主な違いはJP表示では屋外用を示すJPWがあるのに対し、IP表示には屋外表示がないことなどで、内容的にはほぼ同じものです。IP表示の概要は次のようになっています。

IP表示の構成

IP表示は、以下の2つの保護基準で構成されています。

  • 外被構造内部の充電部との接触又は接近、及び可動部(中略)との接触に対する人命の保護並びに固形異物の侵入に対する保護(第1数字記号)-詳細は表1参照-
  • 水の侵入による有害な影響に対する保護(第2数字記号)-詳細は表2参照-
表記方法の例

保護の程度を示す表示記号は、IPの後に第1数字記号、第2数字記号を並べて表示します。多くの産業用機械で使用されている「全閉外扇形モーター」は、IP表示では「全閉防まつ形」であり、IP44と表示されます。

表示例:
IP44 (十の位が第一数字記号、一の位が第2数字記号)
表1 第1数字記号で示す人体及び固形異物に対する保護の程度
記号 形式 説明概要
0 無保護形 人体の接触、固形異物の侵入に対して特別の保護を施していない構造
1 半保護形 人体の手のような大きい部分が誤って外被内部の回転部又は導電部に触れないようにした構造。直径50mmを超える固形異物が侵入しない構造
2 保護形 指などが外被内部の回転部又は導電部に接触・接近しないようにした構造。直径12mmを超える固形異物が侵入しない構造
3 閉鎖形 直径2.5mmを超える道具やワイヤなどが外被内部の回転部又は導電部に接触・接近しないようにした構造。直径2.5mmを超える固形異物が侵入しない構造
4 全閉形 直径1mmを超える道具やワイヤなどが外被内部の回転部又は導電部に接触・接近しないようにした構造。直径1mmを超える固形異物が侵入しない構造
5 防じん形 いかなる物体も外被内部の回転部又は導電部に接触・接近しないようにした構造。じんあいの侵入を極力阻止し、たとえ侵入しても正常な運転に支障がない構造

表2 第2数字記号で示す水の侵入に対する保護の程度
記号 形式 説明概要
0 無保護形 水の侵入に対して特別の保護を施していない構造
1 防滴形1 鉛直方向に落下する水滴によって有害な影響を受けない構造
2 防滴形2 鉛直から15度以内の方向に落下する水滴によって有害な影響を受けない構造
3 防雨形 鉛直から60度以内の方向に落下する散水状態の水によって有害な影響を受けない構造
4 防まつ形 いかなる方向からの飛まつによっても有害な影響を受けない構造
5 防噴流形 いかなる方向からの噴流によっても有害な影響を受けない構造
6 防波浪形 波浪又はいかなる方向からの強い噴流によっても有害な影響を受けない構造
7 防浸形 規定の水圧及び時間で水中に浸したとき、有害な影響を与えるだけの水が浸入しない構造
8 水中形

規定の条件下の水中で連続的に運転できる構造

耐熱クラスと温度上昇限度

モーターを含む電気製品の絶縁の耐久性は、温度・電気・機械的ストレス、振動など様々な因子により影響を受けます。中でも温度が絶縁の劣化に対して支配的であることから、絶縁の耐熱クラスが「JIS C 4003」で規定されています。一般用三相かご形誘導モーターにおける耐熱クラス(絶縁)としては、A・E・B・F・Hの5種があります。このうち、E・B・Fの3種が標準であり、温度上昇限度が表3のとおり規定されています。周囲温度が高い場合や運転条件が過酷なときには、F・H種を採用するなど、規定に沿った耐熱クラスの選定が必要になります。

表3はJEC-2137(電気学会 電気規格調査会標準規格)に規定されているものからの抜粋で、モーターの固定子巻線部分の周囲温度(最高40℃)からの上昇限度を示したものですが、周囲温度が40℃を超える場合や標高が1000mを超える場合は、温度上昇限度の補正が必要となるので要注意です。

例えば、周囲温度が40℃を超える場合は、周囲温度から40℃を差し引いた値だけ、表の温度上昇限度を引き下げる必要があります。標高補正については細かくなるので省略します。


表3 固定子巻線の温度上昇限度(単位:K)
モーター出力/耐熱クラス A E B F H
600W未満 60 75 85 110 130
600W以上200kW以下 60 75 80 105 125

※温度測定法は抵抗法。Kは「ケルビン」と読み、温度の国際単位。

実際に温度上昇限度が利用される例としては以下のようなケースがあります。例えば、周囲温度が40℃でB種のモーターを実運転に使っており、モーター表面温度が100℃となったと仮定します。この場合、モーター表面の温度上昇は60Kですが、固定子巻線温度は表面より15~30K高いと考えられるので、75~90Kと推定されます。温度上昇限度を超えている恐れがあるため、F種モーターへの変更などを検討すべきと考えられます。

耐熱クラスの由来

元々の絶縁階級は、複素数による交流理論を築いた電気工学者スタインメッツが1913年に提案したA、B、Cの3区分でした。第二次大戦中に180℃という高温に耐える「シリコーンレジン」が開発され、H種と命名されました。その後、「ポリエステル」が開発されてE種となり、更に「シリコーン」と「ポリエステル」をかけあわせた材料がF種として追加され、現状に近いものとなりました。なお、C種は誘導モーターでは適用外です。

そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!

本稿のまとめ

  • モーターの保護方式は、人命の保護並びに固形異物の侵入に対する保護と、水の侵入による有害な影響に対する保護で構成されている。
  • 保護の程度を示す表示記号は、IPの後に第1数字記号、第2数字記号を並べて表示する。
  • モーターの絶縁は耐熱クラスによって分けられ、耐熱クラス別に温度上昇限度が定められている。

次回は、モーター技術の動向について説明します。!!

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