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ポンプの周辺知識クラス

【B-1b】ポンプの洗浄(自動洗浄における洗浄効果の因子)

こんにちは。ポンプの周辺知識のクラスを受け持つ、ティーチャーサンコンです。
今回はポンプの洗浄の2回目として自動洗浄(CIP)における洗浄効果の因子について、詳しくご説明します。

洗浄効果におよぼす因子

洗浄効果をあげることは、汚染物質の固着エネルギーにうち勝つだけの洗浄エネルギーを洗浄システムに供給しなければなりません。洗浄エネルギーの供給源としては、つぎの三つがあります。

  1. 洗浄液のかく乱により与えられる運動エネルギー(=流速)
  2. 洗浄液のもつ液温から与えられる熱エネルギー(=熱)
  3. 洗浄剤から与えられる化学エネルギー(=薬品)

これらの三つのエネルギーは互いに補完性があり、ほかにエネルギーの量的ファクターとして時間的因子が関連し、時間を長くかければ洗浄効果は増大することになります。

運動エネルギー

パイプの中を流れる液体の流速を増大していくと、ある値に達したところで流れの状態が層流から乱流に変化することがよく知られています。この原理はオスボーン・レイノルズによって発見されたレイノルズ数(Re)によるものです。洗浄効果を十分に得るためのレイノルズ数の一般的基準を示すと、タンク類では壁面流下フィルムにおいてRe>200です。パイプラインではRe>30,000を適用し、最大効果が得られると考えられています。レイノルズ数が25,000を越えると、活発な洗浄効果と効率が急激に上昇します。この場合、洗浄時間は指数関数的に関与するので、レイノルズ数を増大させれば洗浄時間は短くてよいことになります。

洗浄流量、流速の一般
配 管 CIP の技術でよく知られていることとして、一般的に配管内のレイノルズ数は、Re>25,000以上とし、流速は0.6~1.5m/s としている(レイノルズ数は液の粘性によって変化する)。
タンク類 立て形 流量= D × 3.14 × 1.5(m3/h)
横 形 流量= D × 2(D+L) × 1.5(m3/h)
〈D:タンク直径(m)、L:タンク長さ(m)〉
プレート式
熱交換器
熱交換器内流速>0.5m/s

※上述の配管やタンク、熱交換プレートの流速は、実験や文献、規格から決められたものである。

資料1. パイプラインのCIP基準流量
配管径(s) 基準流量(1/h) 一般製品流量範囲 (1/h) レイノルズ数:水/温水
1 2,150 0~ 2,000 3.34/9.19×104
1-1/2 5,350 2,000~ 6,000 5.27/14.5
2 9,570 6,000~15,000 7.05/19.4
2-1/2 15,400 15,000~23,000 8.94/24.6
3 22,400 23,000~36,000 10.8 /29.7

※注意
3A規格からパイプラインの洗浄は、管内平均流速を最低1.5m/s としており、基準流量はこれから計算されています。また、Jenning によればパイプラインの洗浄では、レイノルズ数25,000以上で洗浄効果が急激に増しており、このことからレイノルズ数は30,000以上を確保する必要がある。上表はこれをすべて満たしている。

熱エネルギー

一般に温度を上げることにより次の効果が得られます。

  1. 汚水の物理的な状態を変えて結合力を弱める。
  2. 汚れと洗剤溶液の化学的反応速度を増大する。
  3. 洗浄液の粘性が減少し、レイノルズ数が増大する。
  4. 汚れ成分中の可溶物質の溶解量が増加する。

牛乳残留物の場合は32~85℃の範囲で、洗浄液の温度を10℃あげることによって、洗浄効果を約1.6倍にすることができるといわれており、また、5℃高めると約30% の洗浄効果を増大できるといわれています。

化学エネルギー

三つの洗浄エネルギーの中で洗浄効果をもっとも大きく左右するエネルギーであり、一般に三つの総合洗浄効果中の大半を占めるといわれています。使用する洗浄剤は、

  1. 汚垢の性質と量
  2. 水質(日本では洗浄に適した軟水が一般だが、水の軟化を促進させる助剤としてキレート剤が添加される場合もある)
  3. 機械の材質
  4. 利用する洗浄法
  5. 洗浄剤の物理的、化学的、機械的性質
  6. 経費

などの諸条件により選択決定されます。

資料3. 食品工場の洗剤の使用基準(洗瓶剤を除く)
被CIP機器 使用洗剤 洗剤濃度(%) 洗浄温度(℃) 備考
タンク・配管 アルカリ 1~2 40~60 洗浄系
アルカリ 0.5~1 60~80 洗浄・殺菌系
殺菌プレート アルカリ 2~3 80以上  
1~2 80以上  
一般加工装置 アルカリ 1~2 70以上  

資料10. 汚れの種類と洗浄薬品A:汚れの大部分は有機成分なので、ほとんどの汚れはアルカリ洗剤で落とすことができるが、定期的な酸洗浄は必要。

B:有機成分と無機成分が複合しているので、アルカリ洗浄と酸洗浄が必要。

C:汚れの多くは無機成分なので、酸洗浄が効果的だが、汚れの状態によっては定期的なアルカリ洗浄が必要。

そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!

本稿のまとめ

  • 洗浄効果に影響をおよぼす因子は運動エネルギー(流速)、熱エネルギー(熱)、化学エネルギー(薬品)である。
  • 洗浄液の流速を速くして乱流にすると洗浄効果があがり、洗浄時間が短縮できる。
  • 一般に、洗浄液の温度は高いほうが洗浄効果がある。
  • アルカリ洗浄と酸洗浄の特長を理解し、汚れの成分に適した洗剤を使う。

次回は、SIPとASEPTICに関して詳しく説明いたします!

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