技術コラムC教室移送物の基礎知識クラス

【C-3a】
粉体って何?(粉体用語の基礎知識Ⅰ)

移送物の基礎知識クラスを受け持つ、ティーチャーシローです。
今回から粉体の性状や特長を表す用語を3回シリーズで解説します。粉体を扱う際の予備知識として活用して下さい。第1回目は「粒度分布」「流動化」「固気比」です。

粉体は粒の集まりですが、小麦粉のようなパウダー状のものから、グラニュー糖のような顆粒状のものまで、その粒の大きさや形は様々です。また、粒が揃っているものもあれば、ばらばらのものもありますが、これらの要素によって、個々の粉体が示す性状は大きく異なってきます。

粒度分布

粉体の粒径(粒の直径)には「ばらつき」がある場合が多いのですが、そのばらつき度合いの分布状態のことを粒度分布といいます。粉体には、粒径に偏りがあるもの、粒径が均一であるもの、大小の粒径を含んでいるもの、粒径がまんべんなくばらついているものなど、様々な種類があります。(下記グラフ参照)
一般的に、粉体の粒径の特長は、横軸に粒径[μm]、縦軸に各粒径の頻度[%]をとったグラフで表されます。

粒度分布の説明図

【上記の粒度分布を示す代表例】

粒径小:
酸化チタン、顔料、染料
粒径大:
砂、グラニュー糖、塩
均一径:
トナー
粒径小と大の2コブ:
凝集しやすい粉体
正規分布:
粉末活性炭等

正規分布:正規分布の曲線は、上グラフのように左右対称なつりがね状の曲線になります。

流動化

粉体層の底部から、多孔板を介して空気やガスを供給すると、はじめは粒子同士が互いに干渉して固定状態にあるものが、ある点を超えると固定状態を保持することができなくなり、粉体層は活発な運動を開始します。このとき、粉体層は膨張し、浮遊懸濁化状態になり、液体に似た挙動を示します。このような状態を流動化といいます。

粒度分布が正規分布を示す粉体の場合、図Aのように粉体が空気やガスを保持しやすく、流動化しやすくなります。逆に粒径が均一な粉体の場合、図Bのように空気やガスが粒と粒の間を抜けてしまい、流動化しにくくなります。

般的に、流動化しやすい粉体は、飛散しやすいために粉塵対策が必要ですが、配管での移送には適しています。逆に流動化しにくい粉体は、堅く締まりやすい傾向があるため、配管内での閉塞が懸念されます。

粉体の流動化の説明図

固気比

固気比は下記のように表されます。

固気比の式

輸送中の空気に対する粉体の重量比のことです。数値が大きければ使用している空気量が少なく、高濃度で粉体を移送していることになります。逆に数値が小さいと使用空気量が多く、粉体よりも空気ばかりを送っていることになります。

固気比による移送効率

そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!

本稿のまとめ

  • 粉体の粒径のばらつき度合いの分布状態のことを粒度分布という。
  • 粉体層が空気やガスで膨張し、浮遊懸濁化状態になることを流動化といい、液体に似た挙動を示すようになる。
  • 固気比は輸送中の空気に対する粉体の重量比のことで、輸送効率を計る指標になる。

次回は、「かさ密度」 「流動性」 「噴流性(フラッシング性)」について解説する予定です。

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