移送物の基礎知識クラスを受け持つ、ティーチャーシローです。
今回は、計算が難しい汚泥の配管抵抗についてお話しします。
「汚泥」は下水処理場、浄水場、工場排水処理設備、し尿処理施設などで発生し、さまざまな種類のポンプが移送用として使われています。モーノポンプもそのうちの一つです。汚泥は、発生場所、処理方法や混合物などによって性質が大幅に異なるため、ポンプの選定に不可欠である配管抵抗の計算が難しい液体です。
本稿では、ポンプメーカー目線で、汚泥の配管抵抗を求めるのに使用されている計算式をご紹介します。詳細は専門書などでご確認ください。
なお、配管抵抗の基礎については【C-2c】流体って何?(流体と配管抵抗)で解説しています。
汚泥は、多くの場合「非ニュートン流体」に属します。非ニュートン流体の配管抵抗値を正確に測るには、粘度測定によって流動特性(粘度・粘性係数・粘性指数など)を求め、流体の種類に応じた配管抵抗の式に当てはめて算出します。
しかし汚泥は固形物や夾雑物を含んだ流体のため、一般的に使用される回転式粘度計では、それらが測定の邪魔をするために、正確な粘度測定が困難と言われています。ある程度の精度で流動特性を求めるには実際のポンプや配管設備を用いて測定しなければならず、かなりの労力が必要です。
そのため、先人たちの多年の実績や経験により、ある程度の条件下であれば配管抵抗値が求められるような計算式が導出され、広く利用されています。
円管内の定常流の配管抵抗を求める式として最も広く使用される式でもあり、特に管路が比較的短い場合(場内配管)に使用されています。
λは鋳鉄管か鋼管かによって定められます。また、汚泥に適用する際は、一般的に汚泥濃度に応じた補正係数をhfに掛けて予想配管抵抗値を算出する場合が多いようです(※1)。
ただし、最も基本的な式としてどんなケースでも使用できる反面、λや補正係数の計算方法次第で数値が大幅に変動するため、適切に選定しないと、計算結果と実際の圧力が大きく異なることになります。
上水道の管路設計で広く使用されているヘーゼン・ウィリアムスの式です。比較的濃度が低く「乱流」の場合に適用できます。補正係数を乗じて計算する場合もあります(※2)。
一般に濃度が高くなると粘度が高くなり、流体は乱流から層流に遷移してしまいます。層流の場合は、本式を使用することができません。乱流と層流については【C-2c】流体って何?(流体と配管抵抗)を参照してみてください。
濃度3%を超える濃縮汚泥は、粘度が高く層流で、かつ通常よりもさまざまな固形物・夾雑物を含んでいるため、上記のダルシー・ワイズバッハの式、ヘーゼン・ウィリアムスの式では適切な計算結果を得ることが難しくなります。実験などで粘度計測するとか、既設ポンプ・配管によって得られたデータを活用するなどの対応が必要になります。
そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!
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