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ポンプの周辺知識クラス

【B-2d】駆動機(モーター技術の動向)

こんにちは。ポンプの周辺知識のクラスを受け持つ、ティーチャーサンコンです。
第4回目の今回は、モーター技術においても、様々な技術革新を行なわれている現状の一端を知っていただくため、「モーター技術の動向」についてご説明します。皆さんついてきてくださいね。

◆高効率モーター

世界的に省エネ、環境保護の機運が高まる中、工場電力の70%を占めると言われているモーターの消費電力を削減することを目的として、より効率化をはかるために開発されたモーターです。

1997年10月、米国では従来の効率がさほど高くない産業用モーターの使用を規制するエネルギ政策法(EPACT)が施行されました。日本においても産業用モーターの高効率化を促進するため、「高効率低圧三相かご形誘導電動機」として、2000年にJISが制定され(JIS C 4212)、各モーターメーカーは高効率モーターをラインアップし、確実に普及してきています。

高効率モーターは、構造・寸法的には従来品と同じですが、材料・巻線等の改善により鉄損、銅損、風損等のモーター損失を20~30%低減し、効率が数%程度改善されたモーターのことです(図1参照)。消費電力の低減に貢献する高効率モーターは、益々そのニーズは高まると言えるでしょう。

図1:2kW(4P)200V/60Hz、負荷率100%の例

◆DCブラシレスモーター

DCブラシレスモーターは、基本的な構造は同期モーターと同様ですが、インバーター制御技術を一部応用して、回転磁界の周波数を変えることで変速運転を可能にしたモーターです。その特長としては、DCモーターと違ってその名のとおりブラシがなくメンテフリーなことと、上記の高効率モーターより更に小型で効率が良いことが挙げられます。

1:10以上の変速範囲を持つシリーズも登場し、比較的小さい容量範囲に限られますが、さらなる省エネモーターとして注目を集めています。

図2は、4極構造のDCブラシレスモーターの例ですが、磁極検出センサーでロータの磁極を検出し、4つの駆動コイルへ流す電流を順次電子制御回路(ドライバー)で制御します。DCブラシレスモーターは、サーボモーター等と同様に専用のドライバと組み合わせて使用することになります。

図2:DCブラシレスモーターのしくみ

◆PMモーター

PM(Permanent Magnet)モーターは、永久磁石をロータの表面に貼り付けたSPM(Surface Permanent Magnet)モーターと、ロータ内部に埋め込んだIPM(Interior Permanent Magnet)モーターに大別されます。SPMモーターの製作は比較的容易ですが高速回転に適しません。反対にIPMモーターの製作は難しいですが高トルクで高速回転が可能です。

PMモーターも同期モーターの一種ですが、上記の高効率モーターよりも小型化され高効率なので、色々な用途に使われつつあります。例えば、電気自動車やハイブリッドカー等の乗用車の駆動モーターやエレベーター、エアコン、洗濯機等のダイレクトドライブ用等です。

永久磁石の性能向上やパワーエレクロトニクス技術の進歩によって開発されたこのモーターは、環境問題への対応の有効なツールの一つとして大いに注目を集めていますが、現在のところカスタムメードが主流のようで、レディメードとしての製品は少ないようです。このモーターもブラシレスDCモーターと同様、専用のドライバーと組み合わせての使用することになります。

図3:PMモーターの回転子構造

◆センサレスベクトル制御による始動トルクの向上と速度制御範囲の拡大

モーターそのものではありませんが、モーターの制御方式の動向です。センサレスベクトル制御は、センサー(速度検出器)を必要とせずモーターの回転速度をベクトル制御をする方式です。

ベクトル制御は、モーターの抵抗やインダクタンス等の特性定数を取り込み、すべりを推定することによって、電流を負荷分と励磁分とに分け、負荷に応じて電圧を決める制御であり、モーターの短時間最大トルクや連続トルク特性が大幅に改善します。

このような制御技術が可能となったのは、マイクロプロセッサの処理速度の大幅な向上等、ハードウェア技術の進歩により、電圧や電流のような動きの速いものを、非常に短い時間で処理できるようになったからです。

例えば図4に示すように、短時間の最大トルク(青線)は、0.5Hz程度の極低周波数域でも一般的に200%以上となり、従来の100%未満に比べ大幅に改善され、始動トルクも向上する為、起動不良の解消に有効です。

また、連続トルク特性(図4の赤線)も汎用モーターをV/f制御する場合に比べ大幅に改善され、100%定格トルクで運転可能な範囲が低周波数領域で拡大します。特に1.5kW程度以下の小容量のモーターにおいては、従来のインバーター専用モーターをV/f制御する場合と同程度のトルク性能を、汎用モーターをセンサレスベクトル制御する場合でも得られます。

このことは、200V級の1.5kW以下ではインバーター専用モーターが不要になり、汎用モーターで十分であることを意味しています(但し、400V級については、汎用モーターでは絶縁強化が必要であり、インバーター専用モーターの存在意義があります)。

図4:V/f制御とセンサレスベクトル制御のトルク特性

更に、インバーター専用モーターとセンサレスベクトル制御の組合せにおいて、0.6~60Hz(速度制御範囲1:100)の広範囲(ワイドレンジ)で定トルクで運転可能なシリーズも出てきています。

そろそろ時間ですね!最後にまとめをしておきましょう!!

本稿のまとめ

今回は、駆動機の最近の動向についてお話ししました。

  • 省エネや環境に対する考慮などの観点から、より効率が改善された高効率モーターの開発されている状況にあること。
  • モーターの短時間最大トルクや連続トルク特性を大幅に改善するセンサレスベクトル制御という制御方式があることです。

次回は、駆動機の特性にあった回転速度に減速するための減速装置について説明します。

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