キャビテーションが起こる

ポンプを日常運転している際に「吐出量が低下した」「騒音や振動が発生した」というような場合があります。上記のような現象が発生する原因は様々考えられますが、ポンプ吸込側でキャビテーションが発生したために起きている場合がありますので、キャビテーションが発生するような運転条件になっていないかも確認する必要があります。

キャビテーションとは?

ポンプ内の吸込側で移送液中の局部的な圧力低下により、移送液が飽和蒸気圧以下になると、下図のようにその箇所で蒸気や空気などの含有気体を含む気泡が発生するようになります。

キャビテーションの様子

この現象が、「キャビテーション(cavitation)」と呼ばれ、一種の沸騰現象のことを云います。キャビテーションが発生すると、

といった現象が発生します。キャビテーションが発生すると正常なポンプ能力を発揮できないばかりか、最悪の場合、衝撃圧によってポンプが損傷する場合もありますので注意が必要です。

キャビテーションが発生する原因

キャビテーションは、移送液中の局部的な圧力低下で発生しますが、それはポンプの吸込力が低下したことに起因します。ポンプの吸込力は、NPSH(Net Positive Suction Headの略で正味吸込ヘッド)で決まりますが、NPSHには、ポンプの種類などによって決まるNPSHreq(必要吸込ヘッド)とポンプの使い方で決まるNPSHava (有効吸込ヘッド)の2つがありポンプで液が吸込可能か否かの判定に利用されます。

両者の関係が、NPSHava > NPSHreqの場合は吸込可能ですがその関係が逆の場合は吸い込めません。モーノポンプの自吸力は最大で-8.5m程度ありますが、液温、液の粘度、配管抵抗、設置場所など使用条件によってNPSHreqは変動するため、NPSHavaとNPSHreqの関係が逆転する場合も考えられます。従って、キャビテーションが生じた場合は、NPSHava > NPSHreqであった状態が、NPSHava < NPSHreqに変化したために発生したと言えます。

NPSHについては、下記を参照下さい。詳しく説明しています。

移送の学び舎:ポンプの基礎知識クラス NPSH(Ⅰ)

キャビテーションを発生させる具体的な原因(例)

  • ポンプ回転速度が上がりすぎた。
  • 移送液の地下貯蔵ピットなどの液面が低下した。
  • ポンプの吸込側の配管抵抗が増加した。
  • 移送液の液温が高くなり、蒸発しやすくなった。
  • 移送液の粘度が、液温低下などにより高くなった。
  • ポンプの吸込力が、ポンプ内の異常(部品破損など)により低下した。

ポンプ導入時と使用条件が変わった場合、上記現象が起こりやすく、キャビテーションが発生する場合がありますので特に注意が必要です。使用条件を変更する場合には弊社担当営業にご相談ください。

地下ピットの液面が下がった場合、液面を上げるなどの対策が必要です。

今回ご紹介したキャビテーションは、場合によってはポンプが損傷することも考えられ、そのような時は、ポンプを停止させる必要があります。そうならないためにも、日常の点検や運転条件の確認を実施していただきますようお願いいたします。

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