冬季に起こりやすいトラブル

冬季にモーノポンプをお使いになる場合

冬季は、特に屋外設置の場合、配管やポンプ内の移送液が凍結することがあります。屋内設置の場合でも、凍結にまでは至らなくても低温になることで液体の粘度が上がり思わぬ事態が発生することがあります。

そこで、今回は気温の低下によって生じる問題とその対策についてまとめました。トラブルを未然に防ぐため、ご確認と対策の実施をお願いいたします。

1. 凍結

配管やポンプ内の移送液は、下記のような状況で凍結することがあります。

  1. 気温が氷点下になった時
  2. 風通しの良い場所に設置されている場合

移送液が水の場合、凍結すると体積が約10%膨張し、配管やポンプが破損することがあります。

凍結によって亀裂が入ったケーシングの写真

凍結している状態に気づかずにポンプを運転すると、下記のような問題が起こります。

  1. モーターが起動しない
    凍結により回転できない状態でモーターを回そうとするため、過電流トリップする。
  2. ポンプが液を吸込・吐出しない
    凍結によりポンプが回転できないか、配管が閉塞して吐出することができない。
  3. ポンプの破損
    無理な状態でポンプの運転を続けるとローターやステーター、ジョイントが損傷する。

2. 液体の粘度上昇

冬季は凍結だけでなく、液体の粘度にも注意が必要です。多くの液体は温度が下がると粘度が上がりますが、10~20℃の低下で数倍から数十倍の粘度になる場合もあります。

通常より、高粘度になった状態で運転すると、下記のような問題が起こります。

  1. モーターが起動しない
    ローターとステーターが液と固まり、モーターが回転せず、過電流トリップが発生する。
  2. ポンプが液を吸い込めない
    液の粘度が高くなるため、吸込配管の抵抗が増大し、キャビテーションが発生する。
  3. ポンプが液を吐出しない
    液の粘度が高くなるため、吐出配管の抵抗が増大し、異常高圧となる。
  4. ポンプの破損
    無理な状態でポンプの運転を続けるとローターやステーター、ジョイントが損傷する。

3. 対策

  1. 事前にヒーティング(保温材、ヒーターなど)を準備し、配管およびポンプに設置する。
  2. ポンプを使用しないときには、配管およびポンプ内の液を抜いて空の状態にする。

循環運転による凍結防止について

水のように低温になっても粘度が変わらない液体は、循環運転で凍結を防ぐことができます。しかし、低温時に粘度が高くなる液体は、配管抵抗の上昇により、異常高圧・吸込不良が発生することがあり、吐出量を下げるなどの対策をした場合でも循環運転をすることは危険です。ヒーティングは切らずに、液の粘度を確認してから行ってください。

特に気温が下がった翌朝などは、十分点検してから、運転を開始してください。

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