インバーター駆動での起動不良について

モーノポンプは渦巻きポンプやファンなどと比べて高い起動トルクが必要です。そのため、起動不良が発生することがあります。特に、インバーター駆動で起こることが多いようです。

起動不良の発生は、駆動機が起動時に出力できるトルクがその正常・異常にかかわらず、ポンプが必要とする起動トルクより小さいことが原因です。その要因は駆動機側・ポンプ側の双方に考えられます。ここでは駆動機側の原因とその注意点について説明します。

代表的な起動不良の原因

インバーターパラメーターの無設定/設定不良

起動不良の発生件数の中でかなりの割合を占めているのが、インバーターパラメーターの無設定または設定不良によるものです。インバーターのメーカー出荷時のパラメーター設定は、そのメーカーが最も汎用的と考えている設定です。

モーノポンプの場合、インバーターメーカー出荷時の設定では正常に起動できないケースがほとんどですので、モーノポンプ専用のパラメーター設定が必要です。また、設定しても適切でない場合は十分な起動トルクが出ないので、起動不良が発生します。

モーノポンプを使用する場合は、専用のパラメーターを制御方式に応じて適切に設定をすることが重要です。

軸封部以外からの漏れ

電源線の断線などによる欠相

電源を入れてもモーターが唸るだけでポンプが起動しない場合は、断線などにより欠相している可能性が高いと言えます。

断線は、コンセントに電源プラグを差し込んで運転するような場合、プラグを持たずにケーブルを引っ張って抜くことによって起こりやすくなるので注意が必要です。また、湿気の多い使用環境などでは、腐食によっても断線が起こることがありますので、濡れたまま放置しないことが大切です。

欠相運転

モーターやインバーターの故障

モーターはもともと堅牢で故障しにくいのですが、設置環境が良くないと、寿命が短くなる場合があります。特に、長期間の運転休止をすると結露などによって絶縁劣化となる可能性がありますので、休止後の運転には注意が必要です。

インバーターの部品では、コンデンサーが特に経年劣化や消耗が進みやすい部品です。それまで順調に動いていたのに、ある日突然ポンプが起動できなくなったというような場合は、コンデンサー不良の可能性があります。

インバーターの選定不良

インバーターパラメーターの無設定・設定不良と同程度に多い原因が、モーノポンプの運転に適していないインバーターを選定したことによる起動不良です。モーノポンプには適さないインバーターとして代表的なものが、いわゆる「ファン・ポンプ専用インバーター」です。

このインバーターは、起動を含めた低速度域において比較的トルクが小さい(二乗低減トルク特性)負荷の運転に特化していますので、大きな起動トルクが必要なモーノポンプには不向きです。

弊社では、モーノポンプに適した推奨インバーターの選定をおすすめしています。詳しくは弊社営業部までお問い合わせください。

移送の学び舎に「インバーターの選定上の注意点」を記載しています。モーノポンプに限定した内容ではありませんが、併せてご参照ください。

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