沈降しやすい液体のトラブル
沈降しやすい液体をポンプで移送する場合
活性炭水溶液や消石灰水溶液のように、液体に含まれる成分(固形物)が沈降しやすい液体があります。これらの液体をポンプで移送する場合には注意が必要です。
沈降した固形物がポンプ・配管内に堆積したまま運転すると、ポンプを損傷させる可能性があるためです。そこで、今回はいわゆる「沈降しやすい液体」を扱う場合に生じやすい問題と対策をまとめました。
1. 固形物が沈降・堆積する条件
下記のような条件下では、ポンプや配管の内部に沈降物が堆積する可能性があります。
- 移送流速(配管流速)が沈降速度よりも遅い
- ポンプが停止している
- ポンプ・配管の洗浄が不十分
2. 固形物が堆積した状態で運転した場合に発生する問題
- モーターが起動しない
沈降物がローター・ステーターに噛み込み、回転できない状態でモーターを回そうとするため、過電流トリップする。
- Vベルトのスリップや切断
モーター動力に余裕がある場合、過電流トリップせずにVベルトがスリップ、もしくは破断する。
- ポンプの破損
無理な状態でポンプの運転を続けると、ステーターやジョイントが破損する。
- 配管の閉塞
沈降物により配管が閉塞して液が流れない状態でポンプの運転を続けると、ドライ(空)運転となりステーターが焼損する。
3. 対策
- ポンプを停止するときは、洗浄運転を実施する。
洗浄するための十分な流速がモーノポンプで得られない場合は、別途、洗浄用ポンプとバイパス配管を設けて、ポンプ・配管内を洗浄していただくことを推奨します。
ラインを新設する場合
- 沈降速度よりも移送流速が速くなるように配管口径を選定する。
- 縦型ポンプを使用し、上から液体を吸い込み、下に吐出にすることでポンプ内部での沈降を抑制できる場合があります。詳しくはご相談ください。
一言で沈降しやすい液体といっても、液質により沈降する速さはさまざまです。すぐに沈降する液体もあれば、時間が経ってから沈降する液体もあります。使用する液体の沈降速度を把握した上で、適宜、十分な洗浄を行ってください。