メカニカルシールを新しいものに交換しても液漏れする

メカニカルシールは、固定環と回転環が両シール面間にごく狭い隙間を設けた状態で摺動し、液漏れを最小限に抑えるものですが、新しいものに交換しても液漏れする場合、いくつかの原因が考えられます。

1. 初期漏れ

固定環と回転環のシール面になじみができるまで、わずかに漏れることがあります。これを「初期漏れ」といいます。通常はなじみができれば漏れがおさまります。

2. 摺動面に傷がついている/異物を噛み混んでいる

メカニカルシールの摺動面は傷つきやすいため、交換時に誤って傷つけてしまう場合があります。また、異物を噛み混んだりして傷つく場合もあります。

3. 摺動面に液体が固まって隙間ができている

ポンプ内に液が残ったままで、次に使うときまでに時間があり、摺動面で液体が部分的に固着(固まってくっついた状態)して、ポンプの再起動時に隙間ができる可能性があります。

4. 移送液の浸透性が高く、摺動面の微細な隙間から漏れる

浸透性の高い液体の場合は、メカニカルシールに隙間があるかぎり漏れてしまいます。注水式にする、または条件が合えば軸封部のないマグネットカップリングシリーズを採用するなどが考えられます。

5. 移送液側の圧力が高く、蒸発する量より漏れる量が多い

通常、移送液側の方が圧力が高いため摺動面からわずかに液漏れしますが、摩擦熱で蒸発する量の方が多いため、漏れているように見えません。目に見えて液漏れしている場合、移送液側の圧力が高すぎる可能性があります。

メカニカルシールが「絶対に漏れないものではない」ことを認識していただき、ポンプ仕様や移送液の特長に合わせて最適な軸封部を選択することが、漏れを最小限にする予防策です。

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