ポンプを長期保管するときの注意
モーノポンプ、モーノディスペンサーを長期間停止して保管する場合、運転再開時に不具合が発生することがあります。不具合を未然に防ぐため、事前処置を実施いただきますようお願いいたします。
代表的な不具合は以下のとおりです。
- 吐出不良
- 起動不良
- コントローラーのバッテリー低下
1.吐出不良の予防
吐出不良が起きやすい液体
- 熱や水分で硬化する液体
- 熱や水分で硬化する液体は、時間経過とともに硬化が進行します。
- 温度管理が必要な液体
- ヒーターなどで温度管理されている液体は、低温になると粘度が上昇します。
- 長期間放置し、腐敗・変質した液体
- 長期間放置することで液体が腐敗・変質することで粘度が上昇します。
事前処置
- ポンプ・ディスペンサー内に液体が残らないよう分解・洗浄を行ってください。どうしても無理な場合は、極力残液がないよう処置してください。
- 配管やホース内にも極力液体が残らないよう処置してください。高粘度液などでどうしても除去できない場合は、運転再開時に新しい配管、ホースを事前準備いただくことをおすすめします。
- 温度管理が必要な液体は低温にならないよう、長期停止中でもヒーターの電源を切らず、粘度の上昇を回避してください。ただし、時間経過で液体が硬化する場合は液体を排出しておく必要があります。
吐出不良が起きてしまった場合の対応方法
- ポンプ・ディスペンサー内で液体が硬化している可能性がありますので、分解点検を実施してください。液体の硬化があれば除去してください。
- 吸込側、吐出側配管内も液体が硬化している可能性がありますので点検を実施してください。液体の硬化があれば除去してください。
- ディスペンサーの場合は先端のノズル・ニードルに詰まりがないか確認してください。
- 液体の温度が低下し、粘度が上昇している場合は、適正温度になってから運転を再開してください。
- 洗浄・分解を行う時は、必ず装置の停止および主電源が切れていることを確認してください。
- 硬化している液体が除去できない場合は、部品交換が必要となります。
2.起動不良の予防
起動不良が起きやすい状態
- ステーターの経年劣化
- ステーターは一般的にゴム材質のため、時間経過とともに劣化が進行します。ゴム部分が硬くなるとローター・ステーターの摺動抵抗が大きくなります。
- ローター・ステーターの吸着
- 長期間停止すると、金属製のローターとゴム製のステーターが吸着してしまうことがあります。
- ポンプ・ディスペンサー内での液体の分離・硬化
- 特にローター・ステーター部や軸封部で液体が分離・硬化している場合は、吐出不良だけでなく起動不良の原因にもなります。
また、液体がローター・ステーターに噛み込んでいる状態で起動してしまった場合は、ステーターが破損するおそれがあります。
事前処置
- 長期間停止する場合は、1ヶ月に1回程度、瞬時起動、または手動でローターとステーターの相対位置を変えてください。(空運転にならないよう十分ご注意ください)
- 屋外設置の場合や1年以上停止する場合は、ステーターを取り外して保管いただくことをおすすめします。
- 分離・硬化する液体はポンプ・ディスペンサーおよび配管内から除去してください。
液体については、「1.吐出不良の予防」をご参照ください。
起動不良が起きてしまった場合の対応方法
- 手動でローターとステーターの相対位置を変えてから運転してください。
- それでも起動不良が発生する場合は一度ステーターを取り外し、潤滑液を塗布の上、再度運転してください。
- 再度起動不良が発生する場合は、ステーターゴムの劣化や制御系の不具合も考えられますので、弊社までご連絡をお願いします。
- ローター・ステーターや軸封部で液体が硬化している場合は、硬化した液体を除去してください。
- 洗浄・分解を行う時は、必ず装置の停止および主電源が切れていることを確認してください。
- 硬化している液体が除去できない場合は部品交換が必要となります。
3.コントローラーのバッテリー低下異常について
バッテリー低下とは
- 長期間コントローラーの電源をOFFにすると、充電されず徐々に消耗し、バッテリーが低下する場合があります。
- バッテリーが低下すると、プログラムが消失するおそれがあります。
- 消耗度合はバッテリーの使用期間によって異なります。
バッテリーはタッチスクリーンとプログラマブルロジックコントローラー(PLC)に使用されていますが、機種により異なります。
事前処置
- 長期停止時もコントローラーの電源をONにしていただくことをおすすめします。
- 長期停止前にバッテリーを新品に交換いただくことをおすすめします。
バッテリー低下が起きてしまった場合は「コントローラーの異常」をご参照ください。