前回は、軸封部からの液漏れ発生の原因とその対策についてお伝えしましたが、今回は軸封部以外の部位から発生する漏れについて、その原因と対策を説明します。
漏れの発生部位とその原因を整理するとおおよそ下記のようになります。漏れはその状態を目視で確認できますが、その原因の特定は目視で確認できる場合もあれば、部位を分解しなければ特定できない場合もあります。
発生部位 | 考えられる主な原因 |
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ベアリングカバー | グリースの劣化 |
オイルシール |
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駆動機出力軸 | 駆動機出力軸のオイルシールの摩耗 |
フランジ |
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漏れを完全にシャットアウトすることは困難ですが、以下のような点を留意いただければ、漏れの発生を最小限にできる可能性があります。
考えられる主な原因 | 対策 |
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グリースの劣化 | ベアリングハウジング内のグリースが劣化すると油分と水分に分離し、漏れる可能性があります。グリースを交換してください。また、温度差によりベアリングハウジング内の空気が熱膨張して漏れるケースもあります。この場合はグリースを拭き取り、暫く様子を見てください。 |
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異物の噛み込みなどによる摩耗が考えられます。摩耗部品の交換が必要です。 |
駆動機出力軸のオイルシールの摩耗 | 駆動機出力軸部にはオイルシールが設けられています。このオイルシールの摩耗によって漏れが発生します。交換が必要なため、弊社までご連絡ください。 |
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激しい漏れではなく気にならない程度の漏れの場合、放置される場合があります。当座は問題がなくても、大きなトラブルを誘因する可能性があります。不具合が大きくなればなるほど、運転休止やメンテンスコストの増大などにつながる可能性が高くなりますので、初期段階での対応が大切です。
フランジパッキン等はボルトの締め付けによりシールを確保しています。ボルトの緩みや、パッキンの劣化が進行すると漏れ量が増大します。
移送液やグリース、オイル類が大気側に漏れると異臭が発生することがあります。環境問題に発展する可能性もありますので注意が必要です。
漏れ出てきた液が滞留することで、液に接している部分が腐食したり、塗装が剥がれるケースがあります。漏れ量が増大すると腐食や塗装剥がれの範囲が拡大します。
漏れ出てきた液が固化するケースがあります。固化が進行することで分解不能になったり、メンテナンスに影響を及ぼす可能性があります。
軸封部からの液漏れと同様、漏れを放置しておくと、運転休止やメンテナンスコストの増大につながる可能性があります。漏れ発生時の初期段階での対応と日常点検を実施していただきますようお願いいたします。