F1メカニックとして世界を渡り歩き、
第一線でその腕を振るってきた津川哲夫氏。
彼が経験上痛感しているのは、
いつの時代もどの地域でも「オリジナルである」ことの強さ。
『オリジナルなものづくり』を追求する企業姿勢に共鳴し、
今回のヘイシン探訪が実現した。
2017年6月、ヘイシンの滋賀事業所内に製品ショールーム『プロダクトスクエア』がオープン! 今回は番外編として、営業部・稲葉清志の案内のもと、このショールームに訪れた津川さんの様子をお届けします。
はじめまして、稲葉です。ここでは、モーノポンプやディスペンサーなど、40台以上の製品を実演展示しています。見たり触れたりすることで、製品の性能を実感していただきたいと思います。
今までいろんな製品を見せてもらったけど、40台も一気に見られるとは、圧巻だな。今日はよろしくお願いしますよ。
では、早速回っていきましょう! 今私たちがいるのがフロント階で、2階、3階と計3フロアあります。このフロント階では、モーノポンプの構造や基本的な特長をご紹介しています。
うわっ、なんだいきなり! デカイのがあるね。
はい。ヘイシンで一番太いローターと一番長いローターです。ローターが太いほどポンプの吐出量が大きくなりますし、長いほどより高い圧力をかけられます。
なるほど。それにしても、この重量感はすごいな。現物ならではの迫力があるよ。
で、隣にあるのは、製品化されているものの中で一番小さいローターとステーターです。どうぞ手にとってみてください。
あれ? 以前に見せてもらったものより更に小さくなってない? 同じ精度で作るなら、「もの」が小さいほうが難しい。量産レベルになるとなおさらだからねぇ。さすがだね!
ありがとうございます。次はこちらへ。ポンプが天井に2台あるのが見えますか? 型式は同じですが、1台は水を、もう1台は10万mPa・sの高粘度液を吸い上げています。
おぉ、あんなところに! この展示も迫力あるね。
こちらの液晶パネルに圧力が表示されていますが、水の方のポンプは「-0.025MPa」、およそ2.5m下から吸い上げていることになります。津川さんならご存じかと思いますが、モーノポンプは最高8.5m下から水を吸い上げることができます。この展示の3倍強ですね。
ということは、このフロア3階分か! 結構な高さだね。前もって知識があっても、あそこにあるポンプがもっと上の階から吸い上げているところを想像したら、改めてすごい吸引力だと感じるな。
お客様に少しでもリアルに想像していただけるように、展示の仕方も試行錯誤しました。では2階へ参りましょう。ここでは、主に食品や化学関係で使用されているサニタリーポンプを中心にご紹介しています。充填弁を組み合わせた装置もありますよ。
あっ! この缶詰に調味液を充填する機械は展示会で見たことがあるよ。缶詰工場のイメージだね。あっちの展示機にはおいしそうなパンが置いてあるぞ。
はい。パンにクリームを塗る実演をやっています。もちろん、このパンは食品サンプルなので、食べられませんが……(笑)
どれも、現場で使うシーンをイメージしやすくしているんだね。あれ!? このポンプは見たことないな。
新製品のSIP対応ポンプです。SIPとは「定置滅菌」のことで、インラインのまま蒸気や加圧熱水でポンプ内部を滅菌したいというニーズに応えて、このポンプが生まれました。
なるほど。これからの食品業界でどんどん増えそうなニーズだね。具体的には他のポンプとどう違うの?
ステーターに送り込む加圧エアのON/OFFによって、ローターを締め付ける力が変わるしくみを開発しました。加圧していれば通常のポンプとして運転でき、SIP時は加圧せずにゆるめることで、蒸気や加圧熱水がポンプ内を通過できるようになっています。体験型の展示機がありますので、ハンドルを回してみてください。
本当だ! 加圧している間は普通のローター・ステーターのようだけど、加圧していないとすんなり回せるね。滅菌する時だけじゃなく、別の用途にも使えそうな機構だな。
ありがとうございます。では最後に、ディスペンサーを展示している3階へ行きましょう。津川さんの好きそうな装置がありますよ。
おっ! まるで自動車工場みたいだな。
そうです。多関節ロボットがディスペンサーを持ち替えながら、ボンネットやドアにシーラーや鋼板補強材を塗布する工程のデモンストレーションです。他にも、スマートフォンの筐体への接着剤塗布だったり、クッキーへのジャム充填だったり、このフロアでもいろんな場面を想定した展示をしています。
いやぁ~、本当にゲストの知りたいことに、応えられるように工夫されているね。お客さんも短時間でいろんな製品が見られて、ここに来る甲斐がある。個人的にもおもしろかったよ。
ありがとうございます。そう仰っていただけるとうれしいです。
モーノポンプの構造・特長はもちろん、新製品までわかりやすく展示されていて、よかった。来場者を飽きさせることがないね!