哲つぁんがヘイシンにやってきた

F1メカニックとして世界を渡り歩き、
第一線でその腕を振るってきた津川哲夫氏。
彼が経験上痛感しているのは、
いつの時代もどの地域でも「オリジナルである」ことの強さ。
『オリジナルなものづくり』を追求する企業姿勢に共鳴し、
今回のヘイシン探訪が実現した。

津川哲夫
1949年生まれ。76年にF1を観戦し、その感動が忘れられず、翌年にはF1メカニックを志して単身渡英。90年までさまざまなチームのメカニックとして活躍した。現在はモータージャーナリストとして、執筆・解説・講演などの活動を行っている。英国在住。

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第2回 着実と確実を積み重ねて。

ご案内するのはヘイシンの杉野祥弘と生田楓。
技術部の杉野はモーノディスペンサーの「育ての親」のような存在で、
主に自動車・食品業界に明るい。
生田は新卒2年目のヘイシン「ものづくり」広報ガール。
さて、どんな話が始まりますか。

津川

モーノポンプの機能や構造を見ていたら、実際に製造している現場も見たくなってきたよ。

生田

もちろん。部品検査から出荷まで、ぜ~んぶご案内いたします。

杉野

ここは部品の受入検査のセクションで、モーノポンプの信頼性を確保するための、最初の関所みたいなものです。

津川

この機械は、何?

杉野

これは対象物の画像を撮って寸法を測定する機器です。ここにローターを置くとモニターに寸法が細かく表示され、スペックどおりに仕上がっているか把握できます。

津川

なるほど。このねじれた形、普通のメジャーじゃ測れそうにないもんね。

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寸法を測定する機器

杉野

はい。ローターはポンプの仕様に合わせて種類がいろいろあります。大きいものは全長2メートルにもなるので、さすがにこの機械は使えません。

生田

逆に、直径が1ミリほどのローターもあるんですよ。

津川

そんなに小さいローターも作れるんだ ! すごい。それだけ小さいポンプがあるってことだよね。何に使われてるの?

生田

それはあとでご紹介しますので、お楽しみに。
ここでは、いま見ていただいたような寸法測定だけでなく、材質も検査しています。

津川

へぇ。どんなふうに?

杉野

X線で金属の含有比率をチェックしています。

津川

X線かぁ。確かに、「これはチタン製です」と言われても、見ためだけじゃわからないもんねぇ。

生田

部品を検査したあとは、組立と運転検査の工程になりますので、移動しましょう。

杉野

組立工程では、一人一台、完成までを受け持つ「一台流し」というシステムを採用しています。

津川

へぇ~。このポンプを組み立てるのにどれくらいの時間がかかるの?

杉野

熟練工なら30分弱ですね。

津川

意外と早いね ! 一人で組み立てるっていうことは、その人が全責任を持つってことだから、いい意味でプレッシャーがかかるねぇ。

生田

はい。生産量の変動やカスタム製品の要望などにも、フレキシブルに対応できます。

津川

こうして組立作業を見ていると、スペースの最小化にも繋がっているし、優れたシステムだなぁ。おまけに組み立てたあと、すぐ横で運転検査しているんだから、ミスしたら恥ずかしいしね(笑)。

生田

はい(笑)。

杉野

運転検査で合格した製品は、金属コンテナを用いて配送されます。金属コンテナなら、返送していただいて何回も再利用できますので、木材梱包するよりも資源のムダになりません。お客様にも好評なんですよ。

津川

頑丈そうだし、環境にもいいし、いいことずくめだね。でも返却率はいいの?

生田

はい。ほぼ100%です。

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モーノポンプの組立を体験する津川氏

杉野

さて、部品の受入検査から出荷までおおまかにご案内しましたが、ついでだからラボも見ていかれますか?

津川

もちろん ! なんでも見たいよ。

生田

では、次はラボがあるテクニカルセンターへ参りましょう!

最後に一言部品検査・組立・運転検査・出荷の各工程で、みんなが自分の役割を理解し専門力を駆使してキチンとこなしている。その姿が、勝利にこだわるF1チームと重なって見えた。

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