哲つぁんがヘイシンにやってきた

F1メカニックとして世界を渡り歩き、
第一線でその腕を振るってきた津川哲夫氏。
彼が経験上痛感しているのは、
いつの時代もどの地域でも「オリジナルである」ことの強さ。
『オリジナルなものづくり』を追求する企業姿勢に共鳴し、
今回のヘイシン探訪が実現した。

津川哲夫
1949年生まれ。76年にF1を観戦し、その感動が忘れられず、翌年にはF1メカニックを志して単身渡英。90年までさまざまなチームのメカニックとして活躍した。現在はモータージャーナリストとして、執筆・解説・講演などの活動を行っている。英国在住。

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最終回 好きなことをやり続けよう。

最終回を迎えた「津川哲夫のヘイシン探訪記」。
これまでを振り返り、津川さんの意見を聞いてみた。

インタビュアー 生田楓(兵神装備)

生田

工場見学、展示会、エンジニアとの対話など、いろんな面からヘイシンを知っていただきましたが、いかがでしたか?

津川

組織横断的にプロジェクトチームを編成する開発体制、ひとり一人の発想の自由奔放さ、企業の懐の深さ。どれを取り上げてもとても興味深くて大好きだよ。お世辞抜きで。

生田

恐縮です。私はむしろ、津川さんが取材されているF1の世界にそういうイメージを持っているんですが……。

津川

うーん、そうだなぁ。最近のF1には「こういうものが欲しい」「こういうものが創りたい」という強い欲求が足りない気がするんだよね。大きな組織になり、分業化が進んだことの弊害かもしれないけど、失敗しないような開発や目先の改善にとらわれていると思う。本来は、誰のモノマネでもない新しいものを創造しなきゃいけないんだけど。

生田

F1でも、オリジナルを追求して創造するのは難しいんですね。

津川

でも僕はヘイシンで「現状がこうだから次はこれ」という「線の開発」だけではなくて、「こういうのが欲しい、これがしたい」という「点の開発」も見せてもらってきたと思うけどね。

生田

新しいものを創造するためには「点の開発」が必要ということですか?

津川

そう。ヒラメキや願望があって、それを実現するためにトライすることはとても創造的だし、それが風土として息づいている会社は強いんじゃないかな。

生田

なるほど。そんな開発にどれだけ力を注げるかが「企業の懐の深さ」というわけですね。

津川

そうだね。僕が今まで見てきた企業の中には、情熱を持って、いい製品をつくっているところはたくさんある。しかしプロシージャ的というか、決められた範囲の中で自分の役割だけをこなしていればいい、という”歯車の一部“的な考えが蔓延した企業もある。本当は、自分の守備範囲だけじゃなくて、全体に対するこだわりを見せてほしいんだけどね。

生田

情熱やこだわりがあってこその「ものづくり」だと。

津川

うん。チャレンジングだから、僕はヘイシンが好きなんだ。エンジニアたちが自由闊達に挑戦できる環境を守っていけばいいけど、それができなくなったら、ヘイシンの魅力は失われてしまうかもしれないね。

生田

ちょっと耳が痛いです。(笑) では、ヘイシンに今後必要なことはなんだと思いますか?

津川

そうだなぁ? 自分たちの製品の状態を数値で示すことかな。それにはセンシング技術とその応用が必要になる。どういうセンサーを取り付けて、どういうデータを取って、どういうふうに解析して開発に活かしていくのか、という具体的な道筋がないとね。自分たちがやっていることを数値化して初めて、その先へ行けると思うよ。

生田

経験値の先に進まないといけないということですね。では最後に、ヘイシンのようなものづくり企業に向けて、メッセージをいただけますか?

津川

社員ひとり一人がやりたいと思ったことをやり続けてほしい。一歩も二歩も先を考えて、いつまでも夢を追いかけてほしいな。

生田

ありがとうございました。

最後に一言ヘイシンというおもしろい企業に、
出会えてよかった。
新製品ができた頃に、また来るよ !

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